断食・菜食・健康法などなど

断食・菜食・健康法の実践と関連書籍の案内

水野南北 著 「修身実験録 一名・出世の直道」を読む その23 修身実験録&意訳(問答8)

問て曰く、

我れ飯は先生の教のごとく慎みひかゆれども、生得酒好なるがゆゑ、酒のみは慎むこと能わず。されども酒は飯の副物(そへもの)なれば、命数に障るほどの災はあるまじきや否や。

 

答て曰く、

酒は少しく飲むときは、気血をめぐらし、精神を爽かにすといへども、多く飲むときは、性命を損すること疑なし。夫れ人の酒を飲む。初めはその味ひの美なるを知れども、後には却て苦きを覚ゆ。故に顔をしかめ、頭を叩き、アツト云ひて息を吹く。是れ脳中にやどれる神明を苦しましむるが故なり。是の故に翌日に至りて腹中あしく気分苦しきこと、大病人のごとし。されどもこの苦み辛うじて遁れ得れば、又例のごとく飲み初む。此の如くして数年を経れば病躯短命となること受け合なり。命を大切と思はんものは必ず恐れ慎むべし。