断食・菜食・健康法などなど

断食・菜食・健康法の実践と関連書籍の案内

水野南北 著 「修身実験録 一名・出世の直道」を読む その17 修身実験録&意訳(問答2)

問て曰く、

陰徳をつむ事は、実に陽報をうくるの基なるべし。されば衣食財宝などを施すかたに利おほからんか、又は放生をするかたに利おほからんか。

 

答て曰く、

利をえんとて施をおこなふは、大いに非なり。夫れ財宝は天下の財宝にて、我が物にあらざれば、施すとて何ほどの徳にか叶ふべき。されば天よりおのが受くるところの食を、一椀あるひは半椀を減じて、それを他に施すにあらざれば、まことの施しとは言ひがだし。世に放生会(ほうじょうえ)と唱へて、生ける鳥魚をあつめ置き、僧に経陀羅尼をよませて放ちやる習ひあり。是れあしことにはあれねど、大かたは漁者の助けとなると聞く。且つ放ちやるものは、大抵人の食とする所の物なれば、その食とする所の鳥魚を減じて、食せざるこそ尤も放生の根本なれば、その徳もまた尤も洪大なるべけれ。