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水野南北 著 「修身実験録 一名・出世の直道」を読む その14 修身実験録&意訳

病身の人は日々かならず平旦に起き出で、日出に向ひて虚心平気に日拝すべし、然るときは身体健かにして、長寿を得るなり。これ気を養ふの仙法にして無病長命となること疑なし。われ二十五歳の時、行脚して奥州に至り、金華山の辺りにおいて異人にこの仙法を学びうけしより終に寿を保つことを得たり。爾来病身の人にこれを授けてためしみるに、一々その験あらざるはなし。故にここにさとし置くなり。

 

仙法に曰く、真人の息は踝(くびす)を以てすと。これ心気よく丹田にをさまる故におち付きて静かなるをいふなり。心気恒に斯くの如くなれば、たとひ驚くことありとも、気を失ふことなし。常人は高き處より落ちて、息の絶ゆることあり。是れ心臍下になきゆゑに、思はざるの死あるなり。心気丹田にをさまれる人は、ウンと息を詰るときは、臍下盤石のごとく、心気総身に満ちわたりて、少しも動かざる故に、気を失ふことなし。さてその心気を丹田にをさむる所以は、平生飲食の慎みにあるなり。