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水野南北 著 「修身実験録 一名・出世の直道」を読む その6 修身実験録&意訳

若年より食を慎みて、おのれよりみづから欠きおく時は、老ひてかならず満つることあり。心あらん人は、平常の慎みを専一として、若年の徳を老年に延すべし。必定餓死の相ある老人といへども、三年食を慎みて、これを死禄にのばす時は、おのづから餓死を免がるること、これまた必定なり。斯の如き類は、予数年ためし見て、決してたがふことなし。

 

食を楽むほどのいやしき心を持つものは、決して発達するものにあらず。食は是れ発達の本なり。これをみだりに食ひ費すときは、終にその発達の本を失ふ。恐るべき事なり。金銀の徳大いなりといへども、五穀にくらふれば小なりとす。豈に食を軽じ弄ぶべけんや。

 

下人働人は、みな食を濫りにして定まらず。ゆゑに禄もまた定らず。されば禄を定めんと欲するものは、まづ食を定むべし。なほ大禄に定めんと思はば、小食に定むべし。およそ三年の間斯くの如く恐れ慎みて徳を損せざる時は、たとひ無禄のものといへども、食禄おのづから定まること、予が数人を実験して明らかに知るところなり。尤も食量は腹八分を以て節とするなり。