断食・菜食・健康法などなど

断食・菜食・健康法の実践と関連書籍の案内

水野南北 著 「修身実験録 一名・出世の直道」を読む その28 修身実験録&意訳(問答13)

問て曰く、

我若年より運あしくして、大いに心労す。思ふに生涯我れに具はれる天運はなきものならんか。いかが。

 

答て曰く、

世界の人我れに天運なしとて、歎きて天を怨むもの多けれども、人として程々の天運をうけぬものあらじ。すべて人は天の陽火をうけて生まるるものなれば、その陽火身体に循環して昼夜やむことなし。これを運といふ。運とは則ち命なり。故につづけて運命といふ。然れば貴きも賤きも人は天運をうけて生るるゆゑに、天運つくるときは命したがひて滅す。それ天の陽火寅の刻より東方に起りて暫くも淀むことなし。人もまた同刻に起きて、業をつとめ精をはげみて、怠り淀むことなければ、おのづから天理に叶ひて天運次第に開けゆくなり。全体運とは運動運転運用の意にして、おのれより気血を運動運転運用するゆゑに、天もその報いに幸福を運動運転運用して、我れに仕向けたまふなり。されば運は全くおのれより運び出すものと知るべし。