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水野南北 著 「修身実験録 一名・出世の直道」を読む その4 修身実験録&意訳

常に大食の者は、自分しかと治りがたし。貧者ならば次第に困窮す。相応の福ある人ならば家を損す。薄福のものならば死して棺なしと知るべし。初物を好み食ふものは、散財を司とり家を損す。(今思ふに、天地は物の生々を好む故、いまだ十分に熟せざるうちに食へば、その発生の気を妨ぐること、なほおのが発達の道を塞ぐと同理なればなるべし。)

 

麁食(そしょく)小食にして、その分量の定まりたるものは、極悪貧窮の相貌ありといへども福寿を主とり、かならず生涯に家得をたくはへて、子孫に遺すべし。尤も麁食すといへども、大食にして分量定まりなきものは大凶なり。但し田舎の人を相するは、また別の心得あるべし。

 

食量不同あるものは、相貌好くても凶なり。物定まるがごとくにて定まらず。八九分の處にて崩るることおほく、生涯安堵なりがたし。食量大概は定まりて、少々づつ折々不同あれば、福禄もまたかくのごとく不同あるべし。また品好くして、身修まり禄定まりたるやうに見ゆる人の、三度の食に不同あるは、禄いまだ定まらず、身心いまだ安堵せず。容貌厳重に見ゆるものの食量みだれ定まらざるは、心かならず厳重ならず。これ表を飾る人なり。食量厳重に定まりて、始終動かざれば、福禄もまた動かず。これを食禄の全き人といふ。