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水野南北 著 「修身実験録 一名・出世の直道」を読む その21 修身実験録&意訳(問答6)

問て曰く、

我近年多病にして、次第に困窮す。尤も別家親類等は皆富家なりといへども、更に我を助け護るものなし。如何せば可ならん。

 

答て曰く、

人を便(たより)にすること大いに非なり。おのが身はおのが慎みによりて吉凶あり。人の知るところにあらず。凡そ天下に我を助け護るものおほし。國君は我等が安全を護りたまふ職なり。武士は我等に害をあたふるものを防ぎ、農夫は我等が食ふところの五穀を作り、職工は器物を作り、商売は貿易を任じて、おのおの我等が用を達す。みな我等を助け護るものなり。このゆゑに徒らに月日を過し、安閑として萬物の費を知らざるは、天理に叶はず。終に汝が如く貧病を生ず。人には生得疾病貧病あるにあらず。おのが行ひ天理にそむくゆゑに皆天より罰したまふと知るべし。唯食を節減し倹約を守る時は、おのづから富を得て病もまた治するものなり。