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水野南北 著 「修身実験録 一名・出世の直道」を読む その32 修身実験録&意訳(問答17)

問て曰く、

予若年より心をいましめて悪をなさず。ただ人を助くることをなすといへども、予を用ふるものなきはいかに。

 

答て曰く、

およそ無情のものたりとも、みだりにこれを費し捨つれば、その報い自然にめぐり来て、吾もまた世に捨てらるるなり。是は人と萬物と同一体なればなり。されば食ふに米なきは米に捨てられしなり。着るに衣なきは、衣に捨てられしなり。使ふに金銭なきは、財に捨てられしなり。用ふるに萬物不足がちなるは、物に捨てられしなり。この道理を懼(おそ)れ慎みて、一事一物をもみだりに費し捨つべからず。世に愚昧の人といへども、よくこれを使ひ用ふるときは、その人の為には、命をも惜まぬものなり。萬物におけるもまた斯の如く。物の廃れたるを見ては拾ひあげ、蔵め貯へて助け用ふるときは、自然と己が命数を延ばし、福分を増し、人に愛せられ、世に用ひらるるものなり。ゆめゆめ疑ふべからず。